報告日:2020年4月7日
「毎日新聞」より抜粋記事です
安倍晋三首相は6日、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、改正新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく「緊急事態宣言」を7日に発令する意向を表明した。
7日午後7時に記者会見し、国民向けに説明する。対象地域は、感染が拡大している東京、埼玉、千葉、神奈川の1都3県▽大阪府、兵庫県▽福岡県の7都府県で、8日午前0時から効力を発生させ、期間は1カ月程度とする方針。少なくとも5月上旬の大型連休までは、国民に自粛を求めることになる。宣言発令は初めてとなる。
首相は6日、専門家らで構成する「基本的対処方針等諮問委員会」の尾身茂会長らと首相官邸で面会し、感染状況などについて意見交換した。首相はその後、官邸で記者団に「足元では東京や大阪など都市部を中心に感染者が急増している。医療現場では既に危機的な状況になっていることを踏まえ、緊急事態宣言の準備をすべきだとの意見をいただいた」と説明。
「諮問委員会の専門家からも意見をうかがった上で、明日(7日)にも緊急事態宣言を発出したいと考えている」と述べた。官邸で開かれた新型コロナの政府対策本部でも、首相は宣言の発令に向けて準備を進める考えを表明した。
諮問委は7日に開き、現在の感染状況が緊急事態の要件に該当するかどうかを諮問する。諮問委が①国民の生命・健康に著しく重大な被害を与える恐れ②全国的かつ急速なまん延により国民生活・経済に甚大な影響を及ぼす恐れ――の2要件を満たすと判断すれば、首相は7日中に7都府県に緊急事態宣言を発令する意向だ。今後の感染のまん延や国民生活・経済の状況に応じ、緊急事態宣言の対象地域の変更や期間の延長もできる。
首相とは別に政府は6日、東京都や大阪府など国内の感染状況について、複数の専門家から意見を聞いた。専門家が特に注目したのは東京都の感染者数で、3月31日には累計521人だったが、わずか5日間で2倍となり感染拡大が加速。今月4、5日に2日連続で新たな感染者が100人を超え、6日は83人が確認された。感染経路が分からない人も多く、専門家は「クラスター(感染者集団)への対策だけでは抑えられない状況に近づいている」と危機感をあらわにした。
新型コロナウイルス感染症を対象に加える改正新型インフルエンザ等対策特別措置法は3月14日に施行され、政府は26日に政府対策本部を設置。28日にはクラスターの封じ込め対策などを盛り込んだ基本的対処方針を策定し、発令に向けた準備を進めていた。